近年の和食文化を追い風に、和牛は高級食材として世界中で知名度が高まっています。和牛の需要拡大に伴い、供給側もより高度な品種管理を求めるようになりました。その重要手段の一つとして、鼻紋による個体識別が挙げられます。
従来の鼻紋採取は、ローラーにインクをつけ、牛を保定した上、インクを素早く牛の鼻に塗り、最後に和紙を牛の鼻に当てて鼻紋を写します。
この一連の操作は完全手動で、熟練した作業員によって行われる必要があります。鼻紋の採取に人手と時間が掛かるだけでなく、牛にもストレスを与え、時には口蹄疫などの病気にかかることもあります。採取されたデータは紙で管理されるため、紛失や破損、偽造のリスクがあります。さらに、個体識別の際、鼻紋の照合は人目によって行われるため、誤差も生じやすいです。
鼻紋認証技術はこれらの課題を解決し、デジタルの技術で農家の作業時間とコスト負担を1/20まで削減でき、全体的な生産効率の向上に大きく貢献することが期待されます。